連載
コラム

小網代パール海育隊 ー 輝く真珠を胸に

5月中旬、コロナ禍でいろいろな制限のある中、どうにか地元の名向小学校5年生による核入れの授業が終わりました。
私たちのNPO法人小網代パール海育隊(小パール隊)での、2015年から数えて5回目の小学生による核入れです。

子どもたちが核入れしたアコヤガイとNPOの会員が核入れしたアコヤガイは、6年生になった子どもたちが浜揚げを行い、一人必ず一つは真珠を取り出します。そして、それは地元の宝飾業者さんの手によって「世界にひとつ自分だけの真珠のピンブローチ」に加工され、卒業式の晴れ着の胸に輝きます。残念ながらコロナのため去年と今年は参列できませんでしたが、その日は、私たちNPOのメンバーにとっても晴れがましい一日となります。
三浦市では昭和20年代から30年ごろまで神奈川県が中心となって真珠養殖がおこなわれていたそうです。平成14年ごろに、地域活性化の事業として真珠養殖を復活させようという活動が始まりました。私たちは地元の子どもたちに真珠養殖を通して、ここ小網代の海の豊かさを知って欲しいと、海洋教育の一環としての活動をはじめました。
真珠に関わる方々なら、真珠養殖の難しさは身に染みていらっしゃると思います。真珠がなぜできるのか?さえも知らなかった私たちが、拙いながらも、子どもたちに核入れの指導をするようにまでには、沢山の方々のご協力がありました。三重県にもずいぶんと通わせていただき、惜しげもなく技術のご伝授をいただきました。真珠科学研究所さんの講習を受けたのがご縁で、今はNPOへもご支援いただいております。また、東京真珠加工卸親睦会さんとのご縁をいただき、大きなサポートもいただいております。
地元の漁業者が理事長になり、地元パワーでと、勢いで立ち上げたNPOですが、ここ小網代の海が真珠を育むように、私たちも、皆様に育てていただき、どうにか核入れできるメンバーや細胞が切れるメンバーも10名近くになりました。今年は2000以上の核入れを目指しております。
養殖業者さんからみたら、ままごとのような小規模な養殖作業ですが、本業の傍ら、すべて手作業での継続は本当に四苦八苦の連続でした。赤字NPOなので人件費はゼロ、みな手弁当での作業です。
この、NPOの活動でわかったことは、真珠一粒、あの輝きの尊さ、ありがたさです。そして、海への感謝! これからも子どもたちへそれを伝えて行きたいと思っています。