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コラム

一陽来復 ー キャサリン妃のネックレス

9月19日 英国のエリザベス女王の国葬がロンドンのウエストミンスター寺院で執り行われました。全世界に同時中継され41億人が視聴したと言われています。女王とのお別れを悼むと同時に各国セレブの正装も多くの目を引き付けたことでありましょう。日本では不祝儀には真珠のネックレスは一連でと言われますが中継では複数連のネックレスを装う方々も散見でき、とりわけキャサリン妃のネックレスは衆目を集めました。

 

妃のネックレスは主張しすぎず、品よく妃の美しさを際立てていたと大好評で、ネット上には、「王室の歴史あるジュエリーが似合うキャサリン妃」などと感動する声が多く上がっています。このネックレスはエリザベス女王が1975年にフィリップ王配と共に英国君主として初めて日本を公式訪問した際に日本政府より贈られた最高級の真珠を用い、王室御用達の老舗宝石商・ガラードが制作した4連ネックレスで「ジャパニーズ・パール・チョーカー」と呼ばれているとのこと。

 

しかし私は中継を見ながら違和感を持たずにはいられませんでした。ネックレス4本の長さがわずかにずれてネックラインに合っていないのです。国葬の参列コーデに王室ファッションコーディネーターのアドバイスはなかったのだろうかと不思議でした。なぜ目についたかと言いますと私の現役時代、お店のスタッフがお客様のネックラインに沿わせてなだらかに複数連ネックレスの長さ調整にことさら苦労していたことを思い出したからです。ましてやショートの4連となると大変です。使う方のネックラインはお一人お一人違いますし、珠の大きさもその都度違います。それをなだらかにネックラインに沿って美しく流れるように調整するのですからその技術たるや敬服ものです。

 

そう思って、キャサリン妃のネックレスを拝見しているとキャサリン妃のネックラインに沿っていないのは一目瞭然、世界中で中継を見ていた多くの業界関係者はその点に気づかれて「おしい!」と呟いたのではないでしょうか。中継が終わって考えてみますとまだあのネックレスはエリザベス女王の所有なのです。相続の終わっていない状況ではキャサリン妃のネックラインに合わせ調整することもかなわずガラードの担当者の心中忸怩たるものがあったのではないでしょうか。女王個人が所有していた98個のブローチと46個のネックレスを含む300個のジュエリーはそれぞれどなたが相続するのかわかりませんが私個人としては、4連ネックレスはキャサリン妃が受け継がれ流れるラインに調整して公式の場に登場される日が来ることをお待ち申し上げたいと存じます。