特別
寄稿

オーストラリアの養殖場にて

オーストラリア西部の町、ジェラルトンから真っ直ぐ西へ60kmにあるアブロロース群島。
世界一のクレイフィッシュ(イセエビ)の漁場と言われるこの辺りに幾つかの真珠養殖場があります。
タヒチやクック島のようにインド洋に岩礁がポツポツあり、黒蝶貝、アコヤ貝そしてマベ貝が生息しています。

Houtman Abrolhos Islands map

 

毎年アコヤ貝の挿核作業で訪れますが今年はちょっと面白いリクエストがきました。
作業机の準備中にオーナーが来てヨーロッパのアーティストから隕石を核に真珠を作って欲しい、と依頼が来たとのこと。
本物の隕石かどうかは?マークで何でもインターネットで手に入れたそう。ただの鉄鋼石の欠片に見えますが、お金になるからと引き受けてしまったようです。
ま、こんな事なんて滅多にある事でもないので時間もあるしやりましょうか、とそれに乗る私。

 

何とか苦戦して5,6ついれてみました。
とにかく丸くなく、面が沢山あるので細胞ピースを2つ入れてみました。
それでもサックを形成できるのか、できても何日かかるのか、貝が気の毒になってきます。
というよりもそれ以前に内部まで核としての隕石が移動する可能性の方がずっと高いような?
オーナーは幾つか死なないで脱核してHingeに収まってブリスターパールになってくれれば儲けもの!!と言ってます。
後の5つは半径真珠のように貝の内面に張り付けてみました。
多少とんがりをを丸めたはいえ少し押したらまだまだ痛みを感じる程です。
外套膜に穴があきそう!
ま、こう言った具合でオーストラリアでの作業は本来の仕事プラスその他諸々で飽きない毎日です。
養殖場はどこも真珠のおまけ産業(観光、漁業)で賄っているのが現状なので、真珠の品質向上のための注意事項、アドバイスをしても経費や人手不足やなんやらでこちらの願いは届きません。
毎回浜上げのたびにやるべき事をやらなきゃまともな真珠はできないよ、と口をすっぱくして言っても埒が明かないので、もうどうしたいいの???

と、いうところで、誰か私と一緒に頭を抱えてみたい方、一度こちらに遊びに来てみませんか。天然のイセエビご馳走しますよ.

 

 

※執筆者紹介:千葉様は、オーストラリアの真珠養殖場で挿核手術をされています。
海外の養殖場の様子など、時々執筆していただけることになりました。