電子版になる以前は毎月書いていたこのコラムですが、2か月に一度となると、その間に色々と激動するものです・・・特にこの2か月はもうお腹いっぱいですよね。駆け足にてこの2か月を振り返ってみたいと思います。
中国市場の減速やへい死問題など、懸念されていたアコヤ真珠の浜揚げ入札会でしたが、価格は堅調に推移しました。養殖業者の声として「この状況下で、流通業者は頑張って入札してくれた」との評価が多数派。統計的な数字として、落札平均価格は「微増」といったところですが、入札参加者からは「品質からすれば2割ほど高い印象」との声も。へい死の被害が比較的少なかった九州地区と違い、愛媛と三重の浜揚げ珠の品質にはやはり影響が少なくなかった様子です。
1月20日から東京国際宝飾展(IJT)が開催されました。いつも開催されている東京ビッグサイトの東ホールはオリンピック工事の為に使用できず、今年は西ホールでの開催。出展場所が1階と4階に分かれる変則的な展示会となりました。来場者数は昨年よりも1割ほどダウン。国内外の市場の不透明さがそのまま反映された様子ですが、活発な商いがあったブースがあったのも事実。市場やIJTのトレンドはともかく、戦術戦略の構築次第で販売機会はあるということですね。
さて、この2か月の最大の話題はCOVID-19と名前が付けられた中国湖北省武漢市発の新型コロナウイルス騒動。この原稿を書いている2月19日現在で感染者数は世界で75199名、死者2012名、致死率2.7%、回復率は19.5%。SARSの10%に比べれば致死率は非常に低いのですが、それでもインフルエンザの0.1%に比べれば27倍の致死率。もっとも、中国本土以外の感染者数は1013名(日本はクルーズ船のアウトブレイクで616名!)で死亡者は6名と致死率は0.6%。湖北省の感染者61682名、死者1921名とは大きな違いがあります。米国などは中国からの渡航、及び米国人の訪中を禁止している一方、日本は湖北省と浙江省の温州市は渡航禁止扱い(レベル3)ですが、その他の中国は香港を含めてレベル2(不要不急の渡航は禁止)としています。
このウイルス騒動は世界経済に様々な影響を及ぼしていますが、日本の真珠業界も例外ではありません。3月2日から開催予定であった香港のジュエリーショウは5月18日に延期されました。深セン市で3月14日から開催予定であった中国国際ゴールド・ジュエリーフェアも延期に。現在、感染者数の増加は1日平均2000名前後と増加はしているものの、恐れられていたネズミ算式的な感染爆発はなんとか食い止められている様子。ただ終息の目途もまだまだ立っておらず、延期された5月の香港ショウ、IJK,あるいは6月の香港ショウへの影響が心配されます。
真珠輸出の9割近くを香港に依存している日本。昨年からのデモの影響で香港の6、9、11月の各ショウはそれぞれ2~5割程度のマイナス影響を受けたと言われています。デモ、アコヤ貝のへい死、そして新型ウイルス騒動となかなか良い話が昨年からないのが辛いところ。輸出先としての香港依存、販売先としての中国市場、あるいは国内でも中国からのインバウンド需要など、中国人を軸とした販売戦略の見直しが急務となっています。
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パールジャーナル - この2か月