連載
コラム

一陽来復 ー マスコミに見る淡水真珠のあれこれ

時宝光学新聞(6月15日)の二面、AGL5月活動報告の中に「AGTAが 『チャイニーズアコヤと呼ばれる淡水養殖真珠』について発表した記事の全訳を付記し再度AGL 会員へ注意喚起を行った。」との記事がありました。詳細はレポートをお読み頂くこととして、昨今は日本の養殖業者さんが高齢化で人数が減ってきているとか、稚貝が減ってきているとか先行き不安なニュースが多い中、小さいサイズのきれいな淡水真珠がマーケットに混乱をもたらしてきているとは、日本の真珠業界もうかうかしていられません。この珠出現の報告はすでに23年真珠科学研究所の山本亮氏により学会報告されており、今後中国の養殖技術がますます改良され彼らの生産規模と設備で多くの美しい丸系の淡水真珠が日本に入って来るであろうことは想像に難くありません。
中国の生産規模がどれほどかは、先日ジュエリーニュースジャパンの深澤氏がYouTubeにアップした中国で開催された世界真珠大会(中国の浙江省諸曁市で5月20日開幕)の報告動画「中国最新真珠レポート」に見ることができます。ある淡水真珠企業訪問では社内に淡水真珠の入った大きな袋が数多く所狭しと、山積みされている光景が映し出されていました。さらにこれら大量の珠をAIによる画像認識でグレード選別する機械にかけて次々と仕分けしてゆくのです。日本の真珠業者さんが一つ一つ丁寧に選別している光景とは規模と速さが全く違います。真珠と言えば日本というイメージがいつまで続くのか不安になるレポートでした。
最後にちょっと和やかな話題を一つ。5月16日NHKの番組「あさイチ」で「愛(め)でたいnippon 滋賀 ゴイゴイスーな琵琶湖」と題して琵琶湖産淡水真珠を取り上げておりました。真珠貝オーナー制度というネーミングのイベントでお客さんが自分で外套膜を別の貝に入れ、漁協が育て三年後にまたお客さん自ら珠を取り出すというワクワクする楽しいイベントです。こんな和やかな話題が真珠には似合うと思いながら見ておりました。いつまでも夢のある真珠であってほしいものです。

※「宝石学会(日本)宝石学会誌Vol.37 No.1-4 2023 外観がアコヤ真珠と類似した小型有核淡水真珠の出現」