連載
コラム

一陽来復 ー メンズパールネックレス

世界のファッショニスタや有名アーティストがこぞって着けているということでメンズパールネックレスが注目をされていて、我らが業界でもこのトレンドを逃すまいとプロモーションが活発です。私はコロナ禍で外出が少なかったせいもあり、街で真珠様のネックレスをした若者を見かけたのはお一人でした。このスタイルが広がるかどうかはこれからかと思います。しかしメンズジュエリーに関し私には2回の肩透かし経験があるので今回も流行するかどうか、私は懐疑的に見ています。50年以上前、宝石専門店であった当店は「これからはメンズだ!」とメンズリングに力を入れて品揃えしたことがありました。結果は単価の低い商品は動きましたが全体としてはよくありませんでした。2回目は、それからかなり後になり業界の多くのメーカーさんがやはりメンズリングに着目商品開発しましたが大きなブーム・定着にはなりませんでした。ですから結論としてメンズジュエリーは難しいというのが私のイメージなのです。

 

仮にもし広がるとしたらテリと形状が問題になるのでは。肌の上に直接つけることは真珠にとって酷な使用法ですからファッショニスタは、手入れを怠るとテリが無くなる、汗でやられるというウィークポイントをご存じかどうか。パールの命はテリであるということを一般ユーザーの方々がご存じかどうか。テリの無いパールほどみじめなものはありませんから。次に、形状です。パール珠の丸の持つイメージはやさしさ、おとなしさ。ソフト系草食系男子のお洒落演出にはもってこいかもしれません。ではガッシリ系男子ならバロック、ドロップやサークル珠しかもサイズを変えたり珠の間にテリを抑えた金属パーツを入れたりクラスプに凝ったりと変化を付けたら男らしさを演出できます。

 

上記しましたが男性のファッションアイテムとしてネックだけに金額もネックになります。そこで登場するのがリフォーム。日本の国内には今までに販売された膨大な数のパールネックレスがご家庭の宝石箱の中に仕舞われたままになっています。これを作り替え提案するのです。糸替えは読者諸氏にはお手の物でしょうから丸系の珠の間に色々なパーツや変形珠を組み込んで男性にも装着できるデザインと長さにしてご提案すれば女性市場だけにとどまらず男性市場にまで、一挙に市場を2倍に広げることができましょう。ご納品時に「拭く」ことを必ずお伝えすれば完璧です。