連載
コラム

一陽来復 ー 「真珠販売者必見!話題の”日本ブランド”真珠を売る!~真珠の名産地、三重県伊勢志摩からプロのための真珠講座~」

2月10日三重県真珠振興協議会主催ウェビナーが開催されました。講師は 坂口 るり子 氏 (坂口真珠養殖場)、中村 雄一 氏 (三重県真珠振興協議会 副会長)のお二人。英虞湾にある坂口真珠養殖場は当研究会で見学させて頂いたこともあり懐かしく、中村氏は当マルガリータ執筆者のお一人でもありますので何とも近しく聞かせて頂くことが出来ました。

人工採苗がほとんどで天然採苗はその親貝を採るために行う程度とお聞きし、会話の中にあった三重県水産試験場・水産技術センターのHPを見ると「(2)アコヤガイの種苗生産研究」に詳しく記述があり楽しく読ませて頂きました。

稚貝を育てるのに貝同士の足糸が絡まるのを避けるため養殖かごの中に足場となるシダの葉を入れてそれに足糸を絡ませて貝が固定。10日間ほどでシダが溶けて、貝を傷つけず次の手入れがしやすくなるとのこと。

仕立てのお話で「貝がフワッと口を開く」と言うところがイメージできなかったのですが動画の中で「貝たて」の映像を見て納得、栓をさす前は貝が呼吸をするために口を開いているのです。貝自らが並んで口をフワッと開いているのですからなんともかわいらしい光景です。貝を傷つけずどんな方法で口を開け、栓をさすのか、貝台に留める前の状況がよく理解できました。貝の活性を調整するこの仕立ては真珠の出来不出来におおいに影響する工程とのこと。

最後に坂口氏が真珠養殖に対する思いを語って下さり「仕事が好き、真珠が大好きは間違いないことです。プロですから最善を尽くして当たり前のこと。自然の中で、親子3人で仕事ができ、その中で綺麗な真珠を生み出せるというのが喜びです。私の育てた真珠が売られて皆さんの手に届くことで、それで私たちが豊かな海の中で静かに暮らしていく糧を運んできてくれるわけなので、こうして育った真珠は何処に出しても恥ずかしくない真珠なので今度は私の手を離れたらほかの誰かに幸せをもたらすような存在になってくれたらいいなと思う。そのために私はこの養殖場で自分が出来ることを貝に注いでいけたらいいと思っています」との言葉が心に響きました。海という自然の中で貝という生き物と仕事熱心な職人さんが一つになって生み出される宝石「アコヤ養殖真珠」の魅力を知れて私の心も丸くなったセミナーでありました。