株式会社GSTV内にあるGSTVジェムミュージアム「近山晶の宝石コレクション」を見学させていただきました。約60年、人目に触れず眠っていた3万点とも言われている近山先生の稀少なコレクションの一部が並んでいます。
ミュージアムに進むと正面に近山先生の写真があります。近山先生は「日本の宝石学の父」とも呼ばれている偉大な先生です。1963年*FGAを取得後日本において宝石の研究とその教育に専念し始めました。そして宝石の全般的な知識と鑑別法を、勉強する生徒たちのみならず、業界内の専門家や宝石研究者らに宝石の専門知識を与え続けました。先生の卒業生の数は2千人以上です。このような宝石教育は日本の宝飾業界の熱意を高め、専門商および一般需要層の理解の増大に大きく貢献しました。まさに日本の宝石学の父です。
*FGA:世界でもっとも古く、権威ある英国宝石学会認定の宝石学ディプロマ
近山 晶氏
ミュージアムは「地球の奇跡」「結晶の世界」「宝石学の教育」3つのセクションに分かれており、1.地球の奇跡では宝石はどのような環境で形成され、どのような成長形でどこで発見されたのかなどを学ぶことができ、2.結晶の世界では近山先生が長年掛けて集めた宝石の結晶が並んでおり、結晶が持つ「完全」「透明」「清澄」のイメージそのものを感じる事ができます。また、七つの結晶系を代表する様々な宝石品質の結晶の姿が大変魅了的です。
3.宝石学の教育では近山先生が教育の場で使用していた実習用のカット石やサンプルや
標準試料、そして宝石鑑別のために使用される分析機器が並び、日本の宝石学の父が日本の宝石学にどれだけ貢献されていたかが良くわかるセクションになっています。
このようにGSTVジェムミュージアムでは宝石の一生をストーリーに沿って、まるで小説や映画ように楽しく順序よく見学することができます。
私が特に興味を引いた結晶は日本式双晶です。双晶とは2つ以上の同種の単結晶がある一定の角度で規則性を持って接合したものであり、著名な双晶にドフィーネ式双晶、ブラジル式双晶、そして日本式双晶があります。
「日本式」の由来は明治時代に日本でたくさん産出した為だそうで、現在どこの国で産出した物であっても定義を満たせば日本式と呼ぶそうです。その定義は「2個の水晶が84度33分の角度で接合した双晶」です。
GSTVジェムミュージアムでは希少な様々な双晶、そしてV字型双晶、ハート型双晶、軍配型双晶3種類が揃っており直接見学する事が出来ます。近山先生の写真にも日本式双晶を手に持って写っており、日本式双晶を愛していたのが伝わるとても良い写真だと思いました。
GSTVジェムミュージアム内はTokyo Gem Science社の代表兼GSTV宝石学研究所所長で日本を代表する宝石学者、阿依アヒマディ博士にご説明をいただきました。
阿依アヒマディ博士のご説明は分かり易いだけではなくユーモアを交えつつ言葉のチョイスもキャッチーで聞く者を強力に引き付けます。他GSTV社内も合わせて合計3時間ほどご説明をいただきましたが時間が足りないと思うほどとても有意義な時間でした。
阿依アヒマディ博士この度はご教示いただきありがとうございました。ぜひまた機会があれば再度見学に参加させていただきます。