レポート

真珠研究室だより ー細工品に用いられた貝の構造

お土産品として販売されていた細工品(図1)に使用されていた貝殻の構造を観察しました。

図1 貝殻細工品

 

この貝殻は、2枚を貼り合わせて作られており(図2)、長径の方向(約22mm)に平行な縞があり、短径の方向(約17mm)にも平行に成長線のように干渉色の模様があります(図3)。

 

図2 抜き取った貝殻細工品の接着面   図3 試料

 

この貝殻細工品の表面と、割った破片(図4)断面の観察をしました。表面を拡大すると多角形の結晶が見え(図5)、さらに断面を観察すると、縦に積み重なった真珠層構造が観察できました(図6、7)。また、蛍光X線分析により海水産であると判定できました。

図4 貝殻細工品の破片

図5 試料表面拡大(500倍で撮影)

図6 電子顕微鏡観察用試料台の上に貝殻片を断面が上になるように接着

図7 試料断面の電子顕微鏡画像(500倍)

 

以上の結果より、この貝殻は海水産の真珠層構造を持つ巻貝の一部を加工したものとわかりました。