レポート

研究室だより ー 着色アコヤ真珠

先日、弊社のセミナー受講生より「染料で染めたようなあざやかな色だが、孔口から核を見ると暗い」という興味深い試料を提供いただき、分析しましたのでご報告します。
持ち込まれたネックレス(図1)の中から、緑色、黄色、オレンジ色の3個(図2)を選び切断し、真珠の構造から着色方法を確認しました。


図1 持ち込まれたネックレス

図2 切断した真珠

 

切断すると(図3)、緑色、黄色の2個は、核が黒褐色であることが確認できました。この2個は放射線処理されたものと考えられます。
さらに、試料真珠3個を薄片とし(図4)、真珠層内を透過光で観察しました。すべての試料について、ごく表層部の色が濃く、染料等による着色が確認できました。

  
図3-1 緑色試料    図3―2 黄色試料  図3-3 オレンジ色試料

図4-1 緑色薄片試料

図4-2 黄色薄片試料

図4-3 オレンジ色薄片試料

 

以上のことから当該真珠は表層から着色が行われ、さらに、緑色、黄色試料は放射線照射処理されているものと考えられます。