真珠養殖では、真珠層構造を持つ淡水産二枚貝(通称ドブガイ)から作られた養殖核が使用されています。この核は、真珠層構造の貝殻を切り取って球形にしているため、縞模様が確認できます(図1)。
図1 養殖用核に使用される淡水産二枚貝(ウォッシュボード)(左)と養殖用核(右)
このドブガイから作られた核が高価になっており、大きく育つ海水産のシャコガイから核が作られることがあるようです(図2)。シャコガイ核は、縞模様に垂直の模様が確認でき、明らかにドブガイ核と異なります。このシャコガイは構造が交差版構造であり、硬度もかなり高いため、孔あけ時に真珠がわれるなど様々な問題が発生します。また、ワシントン条約にも抵触するとのことです。
図2 シャコガイ(左)とシャコガイから作られた核(右)
先日、模造真珠製作会社より、「真珠養殖用の核使用」としている各種模造真珠の核を調べてほしいとの依頼がありました。模造真珠は、核の上に塗布した樹脂が薄いため、光透過法で核の構造をある程度確認でき(図3,4)、さらに、破断面を作成し、構造を確認しました(図5,6)。その結果、1本はシャコガイ核、もう1本はドブガイ核でした。「真珠養殖用の核使用」としている模造真珠でも、ドブガイ核、シャコガイ核が存在していました。
図3 依頼模造真珠1(左)と試料の光透過法観察(右)
図4 依頼模造真珠2(左)と試料の光透過法観察(右)
図5 模造真珠1の核破断面 図6 模造真珠2の核破断面