紫外可視分光光度計
波長ごとに分けた光を試料に当て、その透過率、または反射率を測定する装置が分光光度計です。紫外可視分光光度計は、分けられた光が紫外部から可視部(波長200~800nm程度)となっています(図1)。
図1 可視光の波長と色
この機器で真珠に含まれる色素などの特徴を捉えることができます。
クロチョウガイに含まれる色素は、700nmに吸収があるため、測定したスペクトルは図2のようになります。白色の真珠を似たような染料などで着色しても、この700nmの吸収は現れません。
図2 クロチョウ真珠(左)とその分光反射率のグラフ(右)
また、ゴールド系シロチョウ真珠では、図3のように360~430nmの吸収という特徴が現れます。やはり染料を使って同じような色に着した場合も、やや異なる吸収になり(図4)、着色の判断基準のひとつとなります※1。
図3 ゴールド系シロチョウ真珠(左)とその分光反射率グラフ
図4 着色真珠とその分光反射率グラフ
※1 実際に着色処理かどうかの判別は、目視、蛍光観察、拡大観察など他の方法と併せて総合的に判断します。
そして、どの真珠でも現れるのが280nmの吸収です(図5)。これは、タンパク質に含まれるいくつかのアミノ酸による吸収との報告※2があります。280nmですので、紫外部にあたり、人間が見える範囲ではありません。この吸収は、ゴールド系真珠やクロチョウ真珠などの色素が濃くなるほど、測定されにくくなります。また、漂白などの処理や放射線照射によって吸収が小さくなる傾向にあり、処理の目安として、利用できないか検討中です。
図5 ホワイト系アコヤ真珠とその分光反射率グラフ
※2 平松純一、永井清仁(2010)生物工学会誌、第88巻、第8号、378-383