真珠に付着した白色の物質について、その発生要因と物質が何かを分析しました。
当該真珠(図1,2)を観察すると、真珠表面上に白色物質が付着しているのが確認できます。
図1 当該真珠 図2
さらに拡大すると(図3,4)付着した白色部は結晶のような物質でした。
図3 実体顕微鏡100倍 図4 顕微鏡200倍
次に、蛍光X線で白色部の元素分析を行いました。その結果、80%以上のカルシウムと微量元素の他に、通常の真珠では検出されない塩素(Cl)が多く検出されました。このことから、白色結晶様物質は塩化カルシウム(CaCl2)あるいは何らかの塩化物ではないかと考えられます。
塩素は、汗の成分や化粧品などにも含まれています。何らかの要因で塩素化合物が真珠に付着し、酸などで真珠の表面が溶解して塩素とカルシウムが結合、結晶化したのではないかと推定しました。
塩化カルシウム:白色結晶または粒状、塊状(科学大辞典、共立出版株式会社)