上野のTSUTAYAが5月に閉店し、御徒町周辺の「町の本屋」がついに消滅しました。TSUTAYAは深夜まで営業しており、立ち読みならぬ座り読みも出来て便利な店舗だったのですが・・・考えてみると、以前は会社の近所に昔ながらの「町の本屋」が1軒、御徒町の駅の近くに比較的大きな本屋が1軒、そして松坂屋の地下にも1軒・・・それが次々と閉店してしまい、ついにこのエリアで唯一残っているのは上野駅構内の書店だけに(あとブックオフもありますが)。これだけ本屋離れ、紙媒体離れが進むと、そのうちにブックオフも仕入れが行き詰まるでしょうね。昭和生まれの、アナログな筆者にとっては辛い生活環境になってきました。店頭で新刊を手に取って、2~3ページを立ち読みしてから購入を決断する・・・この長年身に染みついた行為ができなくなるのも寂しいかぎり。電子書籍は味気がないし、それよりも読みたいと思える本を、立ち読み以外でどうやって探していけばいいのでしょうかね?
この「マルガリータ」に執筆を始めたのは1990年代中盤。それから21世紀になり、ワープロがパソコンに取って代わられ、原稿の提出もメールが活用され、元号も平成から令和となった・・・そしてついに「マルガリータ」も電子化される時代になりました。この時代は「AIだ」、「IOTだ」、「5Gだ」、と毎日のようにメディアで技術革新が紹介されています。出版業界やTV業界も大変身し、ユーチューバ―やブロガー、あるいはインフルエンサーなど「昭和時代」には聴いたことがなかった言葉が次々と出てきています。いつでもどこからでも、スマホとSNSを使って全国民が情報を発信できる時代になりました。小売業界も同じで、メルカリなどネットオークションを駆使して全国民が小売店化しているような状況。ネットの革新的な発達は、便利なようでもやはり落とし穴が目立ってきたような気がします。
トランプ大統領の大好きな「フェイクニュース」という言葉に代表されるように、ネット上の情報は本当に玉石混交。週刊紙の得意な「飛ばし」記事以上の内容は日常茶飯事。それは真珠についても例外ではなく、商品知識も言葉の定義もあやふやな記述がたくさんあります。あるサイトでは「天然アコヤ真珠ネックレス」などとして販売されている商品は明らかに「養殖アコヤ真珠」。この様な消費者に不利益に働くようなケースはこれ以外にも多々あります。販売して利益を得る以上は「プロ」なのですから、もっとしっかり勉強をして欲しいものです。
新聞や雑誌など紙媒体で情報を発信する際には、情報の裏を取ったり、複数で校正したりと慎重に作業が進められます。1度発行してしまったらどうしようもありませんから。万が一ミスがあった場合はきちんとお詫びを次号で掲載します。ところが対照的に、ネット上の情報はいくらでも書き直しや削除ができます。便利といえば便利ですが、そこに甘えや無責任な様があるような気がします。大手新聞社などのネット配信記事にも誤字や誤報が多々見受けられるほどになっている現状は寂しいかぎり。電子版となった「マルガリータ」ですが、拡散力としては紙媒体以上の実力を持つことになります。今後の執筆活動は紙媒体の時代以上に気を引き締めて、しっかりと書かなければと肝に銘じていきたいと思います。
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パールジャーナル -電子化時代を迎えて