先日のジュエリーフェアーで営業を手伝っている義妹が手ごろなステーションネックレス用にと低価格の南洋真珠の無孔珠を数個仕入れてきました。バロック珠の中に丸系が2個入っています。両孔を開けるために穴あけ機に留めると核ワレが見えました。もう一個を見るとこちらは層ワレしています。「だから、丸くても安かったんだ」と義妹はがっかり、商品にすることはできません。そういえば私も今まで常に全珠をライトで透かしてチェックはしていませんでした。
核ワレ層ワレ共に経年変化で起こることは無いことではありませんが、販売時点でのワレですから販売サイドでは「ですから、安いんですよ」のおつもりなのでしょう。なにがしかのキズや欠陥があるのは生きた貝が巻いた真珠ですから商品としても多少あるのはやむを得ないにしても珠の内部は分からないもの。ほどほどのテリもあり美しく見える珠でも中がどうなっているのか。外から見られないものを購入者は判断が出来ません。昨今の薄巻き珠が出回り評判を落としていますがこれとて同様の理由です。
核ワレとは内部に使われている核が割れている珠。層ワレは真珠層が割れている珠です。乾燥・湿潤の繰り返しで起こると言われ、経年変化でワレは発達すると言われています。四季あり梅雨あり気温や湿度の変化が激しい日本では真珠は常にストレスに曝されているのです。これらのワレはよほど進めば一見して分かりますがふつうは外からでは分かりづらいのです。(詳しくは小松博著「真珠メンテナンス論 序説」P29参照)
では、仕入れの段階で比較的簡単に分かる方法は無いのでしょうか。あります。光透過法と言ってライトで珠を裏から透かして見る方法です。口の細い、内径の小さい、でも明るいライトで透かして見ることです。珠より明かり部分が大きいと眩しいので珠より小さい直径が必須です。この条件に合えば百円ショップでも入手可能。理想的なライトとしては宣伝めいてしまいますが真珠科学研究所さんで販売している持ち運びの出来る「真珠透視ライト」です。これですとワレのみならず薄巻きチェック、着色真珠の鑑別などが出来ますし、表から光を当て表面の状態を観察(サーチライト法)することもできると言う優れものです。
ともかくも真珠をちゃんと仕入れるなら珠の中まで見ることはマスト。これから真珠を仕入れようと言うあなた、ライトを持って出かけましょう。私も大いに気づかされた出来事でありました。