真珠を作り出す貝の内側は、真珠層構造です。真珠層構造とは、炭酸カルシウムとタンパク質の薄膜が交互に積み重なった構造(図1)です。真珠層構造を上から顕微鏡で拡大すると、等高線のような模様(図2)が確認できます。
図1 真珠層断面模式図 図2 真珠層表面模様
シロチョウガイ貝殻の真珠層には、表面が波打ったように見えるときがあります(図3、4)。光の当て方によっては、割れのように明るさの濃淡が見えます。拡大してみますと、表面の結晶模様の向きが異なっていることが確認できます(図5,6)。
図3 シロチョウガイ先端部 図4 シロチョウガイ試料
図5 シロチョウガイ試料表面拡大 図6 図5と同場面で斜めから光を当てたとき
このような表面模様はシロチョウ真珠にも時折見られます(図7)。表面を拡大すると、貝殻と同様に結晶模様の方向が異なっていることが確認できました(図8)。
図7 シロチョウ真珠 図8 表面拡大 斜めから光を当てたとき
結晶の成長方向の違いからこのような模様が現れるのではないかと推定できますが、集光観察では割れと間違えやすい構造です。実際には割れていなくても、割れが発生しやすい箇所である可能性もあります。
今後、断面観察や結晶層観察など、さらに詳しい分析を進めていく予定です。