「青色に変色」
お客様より、「ホワイト系アコヤ真珠ネックレスから5珠外し、スルータイプネックレスを作製した。同じように使用していたがスルータイプの5珠が白色から青色に変色した。原因を教えてほしい」と依頼がありましたので紹介します。
1、 商品データ
形 状 :アコヤ真珠5珠付スルーネックレス【図1】
チェーン:K18
サイズ :5.0mm~5.5mm
図1 依頼商品
2、 商品観察
ご依頼のスルータイプネックレスは、外した5珠の孔を直接チェーンに通すため、大きく貫通させる加工を行ったものでした。元のホワイト系ネックレス【図2】と比べてみると、ブルー系真珠と呼ばれる珠色に見えます。変色した珠の孔口を観察すると内壁全体に黒色の付着物【図3】を確認しました。
図2 元のネックレス
図3 変色した珠の孔口付近
3、 ブルー系真珠とは
ブルー系アコヤ真珠は、真珠層と核の境界部に有機物が【図4】存在することで、真珠層を通すと全体的に青色に見える真珠、また放射線照射にて核を黒褐色【図5】にすることでブルー系に見せる着色真珠があります。
図4 ナチュラルブルー系真珠の断面
図5 放射線照射によるブルー系真珠の断面
4、 原因とまとめ
今回の商品は珠が動くタイプの形状でした。珠が動くことによって鋭利な真珠孔口(クレームカルテNo80参照)でチェーンの地金が削られ、その黒色金属粒子が孔の内壁に付着し、ブルー系真珠と同様の現象が起こったことが原因です。また珠のサイズが5.0~5.5mmと小さいため表層へ大きく影響したと思われます。内壁部の洗浄を行い付着した金属粉を取り除くことで修復は可能ですが、同様の現象を防ぐには珠の孔口で金属チェーンを擦る状況を無くすため、珠を動かないように固定する等の工夫が必要です。