<ブルー系真珠(着色)のクリーニング>
先日、小売り業者様により、「お客様のお品なのですが、クリーニング加工することは可能でしょうか? 診断をお願いします」とのご依頼がありましたので報告いたします。
1.商品データ(図1)
形状;シルバークラスプ珠付通常スタイル糸組ネックレス
サイズ:9.0mm~9.5mm, 44珠付、40.3cm(珠のみ) 51.35g
色:グレー系
図1 依頼商品
2.検査
クリーニング加工を行う前の検査を行います。
① 目視検査
・全珠に軽微ではあるが付着物がみられ、オーロラビュアーで見ても干渉色が弱く感じます。(図2)
・全珠表面の色に若干の違和感を感じます。(ナチュラル系の色ではない)
② 顕微鏡その他による表面拡大検査
・顕微鏡検査により真珠であること、孔口から核を拡大観察したところ放射線処理核であること(図3)、全珠に染料の痕跡は見られないこと、真珠表面にワレ、ヒビ、ハガレがないことを確認しました。
図2 当該商品を拡散光源(オーロラビューアー)で観察
図3 当該商品の孔口から核を観察
3.診断
上記検査の結果、クリーニング加工に支障のないことを確認しましたので施術工程へ移行します。
4.修復
パールリフレッシャーにてマイクロ研磨を施し、テリクロスにて仕上げ磨きをして修復を完了しました。オーロラビュアーでも鮮やかな干渉色が確認できます。(図4)
図4 修復後の当該商品を拡散光源(オーロラビューアー)で観察
5.まとめ
今回の受託商品は核を放射線で着色しただけのネックレスであったのでクリーニングを施しました。市場に出回っている類似商品の中には、核に放射線処理を施した真珠の色目を補てんするために真珠表面や孔口を染料で染めているものがたまに見受けられます。染料の痕跡がみられる商品にマイクロ研磨を施しますと、その着色された真珠が剥離してしまうことがあり、商品全体の色目の印象が変わることがあります。そのような場合にはクリーニング&エステ加工はお受けできません。