「見えないミス」
小売店様より「糸換え後、真珠のネックレスをお客様に納品しようとしたところ糸が切れてしまった」と報告がありました。今回の件について原因と注意点を案内します。
1、 経緯
お客様が糸換え依頼の商品を受け取りに来店したため、ネックレスを収納用のビニール袋から出したところ、お客様の目の前で糸が切れてしまった(図1)ため再度お預かりとなった。
図1 糸が切れてしまったネックレス
2、 原因
今回のネックレスはクラスプから5番目の箇所で切れていました。糸加工では5番目と6番目の箇所で糸を切ること(図2)が多く、今回は明らかに「加工時の糸切りミス」が原因と考えます。糸を切る際、本来当ててはならない本糸に刃が当たってしまった(図3)と推測します。
図2 糸換え時、糸切り前の状態
図3 糸切り時、本糸に刃が接触した
3、 まとめ
通常は刃が糸に当たっただけで切れてしまうことはありませんが、糸を切る際に強く糸を引っ張るため、軽く触れただけで切断に至らなくても単糸(注1)の数本が切れてしまいます。このように単糸が数本切れている(図4)商品は強度が弱くなり、何らかの力が加われば切断の可能性が高くなります。
クレームカルテNo.86でも報告しましたが、今回の事案も担当者の不注意によるものです。加工内容に少しでも不備や不安がある場合、再加工を行いお客様に届けましょう。
注1:GPT20番は100本の単糸によって撚られています
図4 単糸の切れ