<仕上がりの予見>
お客様からお預かりした「ホワイト系ネックレスのクリーニングと糸換えをお願いします」と某宝石店様から依頼がありました。
1. 商品データ
形状:ラウンド系 ネックレス(図1)
サイズ:8―8.5mm
珠数:50個
図1 依頼商品
2. 外観観察
① 目視および10倍ルーペで全ての真珠表面に付着物が見られました(図2)。
② 珠表面の付着物から真珠層表層の微細な溶解が発生していると想定します。
③ 目視でクラスプ頭珠はブルー珠と確認しました(図3)。
図2 付着物
図3 クラスプ頭珠
3. 修復
真珠表面の付着物に加え真珠表層部が汗や化粧品などの酸によって溶解し、凹凸ができたことで光の乱反射が起こり色調は白く見えますが、クラスプの頭珠がブルー珠であることからご依頼のネックレスはブルーであると推測されます。そのため端珠を数個リフレッシュクロスで修復し、本来の色である「ブルー」を確認していただきました(図4)。お預かり時にはホワイト系のネックレスと勘違いしていた宝石店様は驚かれ、ホワイト系ではないことをお客様に連絡しました。お客様のご了承後、全ての珠をパールリフレッシャーにてクリーニングし、本来のブルー珠ネックレスに修復しました(図5)。
図4 修復前(上段)と一部修復箇所(下段)
図5 修復後の仕上がり商品
4. まとめ
仕上がりの予見をすることなくリフレッシュを行ってしまうと、商品が入れ替わった(自分のネックレスではない)などのクレームへとつながりお客様との信頼関係が崩れてしまいます。最悪の場合は訴訟問題になるなど取り返しのつかない大きなトラブルになります。特に経年変化により黄色くなってしまった真珠では、購入時には白い真珠だったと記憶されているお客様が多数いらっしゃるため十分注意が必要です。
※内容、画像は当時のまま