レポート

真珠クレームカルテ57 (2014年1月)

<2つのキズ発生>
某宝石店様より「1年程前に購入したペンダント下部に、当時は無かったカビのような白キズが付いている。裏面にも凹みキズがあるが、購入時にすでにあったキズか調べてほしい」とエンドユーザー様より問い合わせがあったので診断お願いします、との依頼でした。

1. 商品データ
形状:オフラウンド系 K14WG 0.02刻印
黒色系ペンダントトップ(図1)
サイズ:13.2mm

図1 依頼商品

 

2. 外観観察
① 目視では確認が困難なため、サーチライト法で観察しペンダント下部に白色筋模様のキズを確認しました(図2)。
光学顕微鏡検査にて白キズ部に真珠層構造特有の成長模様を確認しました(図3)。
② 目視にてペンダント裏面に凹みキズを確認しました(図4)。
光学顕微鏡検査にて凹みキズ底部に真珠層構造特有の成長模様を確認しました(図5)。
紫外線蛍光検査では発光しませんでした。

図2 白色筋模様のキズ

図3 白キズ部拡大(×100)

図4 凹みキズ

図5 凹みキズ底部拡大(×100)

 

3. 結果
白色筋模様のキズについて
このキズは真珠層に後から付いた汚れやキズではなく、真珠の成長過程において真珠層内部に発生した微小空隙が発達したと診断しました。「クレームカルテNo.56」の報告と同様に後日見えやすくなったものと考えます。

裏面凹みキズについて
凹みキズ底部に成長模様が見られたことから真珠の成長過程において発生した養殖キズであると診断しました。また、底部が真珠層の場合は経年変化することはほとんどありません。

 

※内容、画像ともに当時のまま