レポート

真珠クレームカルテ40 (2012年8月)

<念珠の糸が切れてしまう際の対処法>
先日、業者様より「納品したての念珠(略式)商品なのですが、房の付け根部分(親玉)から切れてしまったとのクレームが数回発生したので、原因を調査しました」との情報をいただきましたので、ご紹介いたします。

1. 商品
7.5~8.0mm、オフラウンド、念珠(無色石付き)(図1)

図1 当該商品

 

2.診断と結果
・房の部分が付け根部分から取れていますが連の部分には変化は見られません。
・房付け根のパーツ(親玉部)で糸が切断されています(図2)。
・切断した糸を詳細に観察してみると、擦れて切れた切り口をしています(図2矢印)。

図2 切断された糸

 

3. その他
お客様に今回商品が切れたときの使用状況を詳しくお伺いしたところ、「お子様に念珠を預けていて、お子様が房の部分を持ち、くるくると回していたら切れてしまった」とのことでした。

 

4. 結論
上記内容から、今回の件は房の部分を持ち引っ張っていた(糸にテンションがかかった)状態で房付け根(親玉)内部の孔口角に糸があたり(図3矢印)擦れて切れたものと判断します。
※マルガリータNo.247 真珠クレームカルテ38と同じ原理

図3 親玉と糸の模式図

 

5.対処法
房付け根(親玉)内部の孔口角の糸が当たる部分に中空のビニール管を入れその中に糸を通して使用する(図4黒色部)。中空のビニール管を使用することにより孔口角に糸が直接当たることを防げます。

図4 修復後の親玉付近

 

※内容、画像ともに当時のまま