レポート

真珠クレームカルテ36 (2024年4月)

<てりの鈍化と接触キズの修復>
1. 依頼事項
お客様より、「クリーニングと一緒に小さなキズがついてしまった珠があるので直してほしい」と依頼がありましたので、出来ましたらお願いします。(某販売店様より)

 

2. 外観観察
・ホワイト系アコヤ真珠 2点セット(図1)
・サイズ ネックレス8.0~8.5mm、イヤリング8.5~9.0mm
・一番端珠(図2)に、肉眼では確認しづらい約1mmのキズを認めます。
・ネックレス全体にてりの鈍化を認めます。

図1 当該商品

図2 端珠付近拡大

 

3. 光学顕微鏡による拡大観察
・汗、化粧品による汚れ、カビ等の付着を認めます(図3)。
・鋭利な物質により真珠層が削り取られている接触キズを2か所認めます(図4)。

図3 汚れた箇所の拡大

図4 接触キズ

 

4. 修復
今回の商品は以下の方法にて修復を行いました。
てりの鈍化については、真珠層表層部への汚れの付着と真珠層の微細な溶解と判断し、日本大学と真珠科学研究所にて共同研究開発したパールリフレッシャーで磨きました。
接触キズ(図5)は、キズは浅く、大きさが小さいと判断し真珠科学研究所で開発販売しているパールリフレッシュクロスを使用して真珠層をキズの底部まで磨き修復しました(図6,7)。

図5 接触キズ拡大

図6 修復後のキズのあった箇所

図7 修復後のキズのあった箇所

 

※内容、画像ともに当時のまま