<シャコガイ核黒蝶真珠>
1. 検査依頼事項
先日某業者様より、「中国の業者より預かった黒蝶真珠に孔あけしようとしたら非常に硬い」のでシャコガイ核と思う、切っても良いので見てほしい、との依頼がありました。
2. 検査
クレームカルテNo.17※1にて「シャコガイ核の判定」を述べていますので、それを参考に検査を進めていきたいと思います。
① 当該商品2点(図1)の外観特徴は以下の通りです。
試料ⅰ:サイズ直径12.2mm、核の直径11.5mm
試料ⅱ:サイズ直径11.3mm、核の直径11mm
・表面を光学顕微鏡で観察し真珠層構造を確認しました。
・分光光度計で黒蝶吸収を確認しました。
・孔口より発生するわれがあります(図2)。
(シャコガイ核真珠は、交差版構造で硬く、孔あけ時に熱が発生して割れることがあります。)
図1 当該試料真珠
図2 孔口のわれ
② 商品を2つに切断し観察しました(図3)。
・交差版構造を推測させる小柱状の模様が確認できます(図4)。
・蛍光X線元素分析装置で分析の結果、マンガンの検出がされませんので海水産と判断しました。
・振動試料型磁力計※2による測定を行いました。測定はシャコガイの範疇に入りました。
図3 切断した試料真珠
図4
3. 検査結果
検査の結果、シャコガイ核と判断いたします。
・シャコガイ核は真珠層構造とは異なる交差版構造をしていますので、試料ⅱを電子顕微鏡で観察し確認しました(図5)。
・入手経路を聞いてみたところ香港にて購入されたとの話で最近の商品ではないようです。
図5 断面の電子顕微鏡画像(3000倍)
※1:当社発行「月刊マルガリータ」No.225、2010年8月号
※2:核の判別用に真珠科学研究所が開発した磁力計
※内容、画像とも当時のまま