レポート

真珠クレームカルテ30 (2011年10月)

<糸替え時に発生するわれ>
先日、弊社にて特許を取得している(特許第4771325号)「真マイクロパーマネント」の加工依頼にてお預かりした一連の一珠(図1)が、真珠層の表面にわれが発生していました。このわれの発生原因について報告いたします。

図1 当該真珠

 

1. 真珠層表面のわれ
真珠層表面のわれは、一般的に真珠層内部に存在していた稜柱層が乾燥により収縮し空隙が発生してしまい、そこに外部より何かしらの圧力がかかり発生するのがほとんどです。

 

2. 外部からの圧力
外部からの圧力にも様々あります。
① ネックレス使用中に珠どうしがこすれて発生する圧力
② ネックレス収納時、身に着けている際の曲がりによる圧力
③ 糸替えの際、再穴あけ時のドリルの刃による圧力

 

3. 商品の観察
われの原因を探るため光学顕微鏡で拡大して観察しました(図2)。
まず、真珠層と核の間に稜柱層の存在を確認したとともに、今回のわれが孔口から発生し、真珠層と核の間に空隙ができてしまっているのがわかります。また孔口部分が拡がっておりスムーズに削られていない再穴あけと思われる痕跡を確認しました。

図2 当該真珠孔口部拡大

 

4. まとめ
以上の観察結果から今回の商品は、真珠層と核のあいだにあった稜柱層が水分の蒸発により収縮しそこに空隙が発生してしまった、そこに再穴あけ時にドリルの刃による圧力から真珠層のわれが発生したものと考えられます。
今回のようなケースは、新しいドリルの刃を使用することにより回避できる場合があります。
ドリルの刃は早めの交換をお薦めします。

 

※内容、画像は当時のまま