凹凸キズの削り
真珠には、“キズ”と言われる凹凸があるものがあります(図1、2)が、ほとんど養殖期間のある時期に原因が発生します(図3)。そしてその原因以降に積み重なった真珠層は、湾曲していきます(図3)。その真珠層を上から眺めると、真珠の表面に凹凸となって確認されます。
図1 2箇所凸キズのある真珠 図2 図1の真珠を90度回転させた画像
図3 凹みキズの真珠とキズ部の断面
真珠層中の白色部は異質層(真珠層ではない層)で養殖初期から発生している
この凹凸を平らにしようと表面を削っていくと表面は平らになりますが、目視ではキズがあるように見えます(図4,5)。
図4 凸キズを削った真珠1を上から見た画像(左)と横から見た画像(右)
図5 凸キズを削った真珠2を上から見た画像(左)と横から見た画像(右)
キズの箇所の真珠層は、湾曲して積み重なっています。削って断面になった真珠層は削られた角度によって透明に近くなり、その下の真珠層が見えているのだと考えられます。そこで、真珠1(図4)を切断し、断面を観察しました。
図6 真珠1の凸キズがあったと考えられる箇所の断面(150倍)
真珠1の凸キズの原因は①の箇所の異質層にあることがわかります。養殖初期にまとまった異質層が存在し、その上に真珠層が積層していきますので、②の成長線を辿っていくと異質層(黒色部)に近づくにつれて上昇し、表面に出ています。削り加工前は、異質物を覆うように真珠層が積層していたと考えられますが、突起部を削ったため、③の箇所は真珠層断面が現れていることがわかります。
このように真珠層の断面が露出してしまった場合、真珠層内のたんぱく質シートが直接外気に晒されてしまいますので、経年劣化が早く進むことも危惧されます。