「ネックレス、糸換えすると短くなるの?」
販売店様より真珠ネックレスの糸換えを行ったところ「預けた時よりもネックレスの長さが短くなっているので商品を取り違えたのではないか」と不信感を持たれてしまった。今後どのように対応したらよいかと相談がありましたので回答を報告します。
経緯を詳しく聞いてみると預かり時、珠数とサイズを確認し写真を撮影したが長さは計測しなかった。「糸を使用したオールノット加工」されていたが「オールシリコン加工」を提案し加工を行ったとのことでした。
1、納品時商品データ
サイズ :8-8.5mm
珠 数 :100個
形 状 :白珠ラウンド系
長 さ :珠のみ約82cm
加工方法:オールシリコン加工(図1)
図1 参考画像)オールシリコン加工の試験用真珠連(25個)
2、実験と可能性
今回のネックレスがお預かり時にどのくらいの長さがあったのかを調べるため、8-8.5mm珠25個(図2)を用意しGPT10番にて「オールノット加工」を行ったところ約2.5cm長くなりました(図3)。これを本件の100個に換算すると、素通しの約80cmから10cm長くなり約90cmとなります。納品時には約82cmだったことから、お預かり時より8cm程短くなった可能性があります。
図2 試験用素通し真珠連(25個)
図3 オールノット加工の試験用真珠連(25個)
3、まとめ
珠と珠の間に隙間が見えている状態のものは、隙間分が短くなりますがお客様も理解されるのでクレームになることはあまりありません。反対にしなやかな状態から糸に張りが出ると、長さが同じであっても短く感じることもあります。また、短くなるだけでなく細い糸から太い糸に換えた場合や変形珠の場合は長くなることもあり注意が必要です。
今回は個数の確認、及び写真撮影をしており、説明を行い大きなクレームには至りませんでした。本件のネックレスはロングタイプであったため「オールノット加工」と「オールシリコン加工」の長さの差が大きくなり、余計に短くなったとお客様が感じてしまったと推測します。
商品を預かる際、様々な方向から仕上がりを予見することが重要であり、計測を含め必要なデータの記録をする。加工方法を変更する際は特に想像される変化を伝え、お客様の希望する長さを聞くことが大切です。糸換え後に長くなり洋服に隠れてしまうこともあります。この場合、珠を外す提案が必要になります。
※内容、画像ともに当時のまま