タイトル「美しく見せる加工方法」
先日、通常の糸替え方法では結び目の数が異なって見えてしまう商品が持ち込まれました。珠の片側のみ孔が大きくあいているのが理由なのですが、今回のように珠の孔あけサイズが左右で違う原因について、またこの様な場合どのように加工すればよいかを説明します。
1、商品デーダ【図1】
形 状:オフラウンド系 ネックレス
個 数:48個
サイズ:7.0mm~7.5mm
図1 依頼商品
2、原因
孔あけサイズが違う原因として考えられるのは主に2つあり、1つは片孔珠で加工されていた珠を後日貫通し、両孔珠にした場合です。貫通には0.7mmもしくは0.8mmのドリル針を使いますが片孔は芯の太さの関係でそれより少し大きく1.0mm位であけていることが一般的です。
いま1つは、クラスプ両端3個ずつ(計6個)の珠を結び目が無いように見せるため孔の深さ分、大きく開け直していることがあます。今回の商品は、上記の方法で加工されたロングネックレス1点をリフォームして複数点に作り替えられたことが原因と考えます。これはクラスプ横に孔の大きい珠が片寄っていたこと、孔の大きさが通常よりも明らかに大きく【図2】、計測したところ1.1~1.2mmのドリル針にてあけられていたことから解ります。
図2 左:孔口大、右:孔口通常
3、まとめ
通常、糸の結び目は左右対称に「見える状態」【図3】で仕上がりますが、今回のネックレスは2個目と4個目の片側の孔だけが大きくあいているためバランスの悪い仕上がりになってしまいます【図4】。孔の大きい珠の位置を移動する方法もありますが、並びを換えることによって連相が変わり、「商品を預けたら品物が代わった」などの思わぬトラブルになることがありますのでお客様の了解なしに並べ替えることは避けましょう。
図3 見える結び目
図4 隠れる結び目
加工方法はまず「見える結び目」を作ります。次に孔の深さ分の「隠れ結び」を作りますが注意点として、仕上げる側では糸が既に締っているため結び目を作る余裕が無く作業は難しいので、結び目の見え方を調整しながら行えるクラスプを最初に付ける側で行います【図5】。
今回は以上の方法にてバランス良く仕上げました【図6】。糸替え加工を行う際、糸の強度などに加え、外見的に良く見えることは重要です。
図5 加工方法
図6 仕上がり商品
※内容、画像ともに当時のまま