<真珠ネックレスのクリーニングの大切さ>
近く結婚式を迎えられるエンドユーザー様より、「母から『結婚式で着けてほしい』と真珠のネックレスをもらいました。このネックレスを着けたいけれど、当日はボディメイクをする予定なので真珠が汚れてしまうのではないでしょうか。」と心配してのご相談がありました。
「真珠は炭酸カルシウムを主成分としているため、汗や化粧品などの酸に弱いのですが、付着してすぐに真珠の表面が反応(溶解)するわけではありません。結婚式後はお疲れかもしれませんが、お母さまからいただいた大切な真珠のテリを守るために必ず乾いた布で拭いて仕舞っていただければ大丈夫です。」とお伝えしたところ、「この真珠を自分の子供まで大事に引き継いでいきたいので、結婚式が終わってからクリーニングの依頼とクロス(図1、2)の購入のため来社します。」とのことでした。
図1 真珠リフレッシュクロス
図2 真珠テリクロス
「夏は汗をかくので真珠は使用しない」「真珠を汚したくないからあまり使用しない」と言われる方がいますが、使用できないのではなく汗や汚れが付いたままにしておくことが真珠にとってよくないのです。また汗をかいていない時でも人間の皮膚の汚れが付いてしまいます。例えばハンドクリームを付けた手は真珠にとってマイナスなのです。そのままにしておくと気づかない間に真珠層表面が溶解し微細な凹凸ができてしまい、テリが失われてしまいます(図3,4)ので、糸換え時にクリーニングを行い、テリを復元することをおすすめします(図5,6,7)。
図3 表面の荒れた真珠(×100)
図4 荒れた真珠表面に入射した光の模式図
図5 クリーニング後の真珠表面(×100)
図6 表面が正常な真珠層に入射する光の模式図
図7 表面の荒れた真珠(上)とクリーニング後の真珠(下)
※内容、画像ともに当時のまま