レポート

真珠クレームカルテ52 (2013年8月)

<ドリルチャック痕の修復>
先日某業者様より「シロチョウ真珠にドリルで孔あけした際、チャック痕が付いてしまったので、この痕がわからなくなるよう、診断、修復をお願いします」との依頼がありましたのでご紹介いたします。

 

1. 当該商品(図1)
形状:ラウンド系
Pt900 無色石付きリング
色 :ホワイト系
サイズ:17.5mm

 

2. 診断結果
右、左2か所対象箇所に肉眼で確認できる丸いチャック痕を認めました(図1、2)。

図1 当該商品

図2 ドリルチャック痕

 

3. 修復方法
真珠層表層についたキズを除去するということは、キズついてしまった高さまで真珠層を研磨する方法しかありません。まず真珠層の厚さがどれくらいかレントゲン撮影にて確認をしました。まき厚は2.3mm(図3)でしたので、修復には十分耐えられると判断し、真珠リフレッシュクロスを装着したルーターでキズがわからなくなるまで磨き(図4)、修復を完了しました(図5)。

図3 商品のまき厚測定

図4 リフレッシュクロスルーター

図5 修復後の真珠表面

 

4. 結論
今回はドリルでの孔あけの際、珠の回転を防ぐため強くねじ止めを行ってしまったためにチャックキズがついてしまったのだと推定されます。キズをつけないためネジを締めすぎず、珠が回転しないように手を添えるなどの対策が必要です。
またキズが付いてしまった場合には、キズの深さ、珠のまき厚により今回のように修復可能な場合があります。

 

※内容、画像ともに当時のまま