レポート

真珠クレームカルテ47 (2013年3月)

<サンゴのボケを修復>
お客様より「光沢の悪くなったサンゴの修復ができませんか、真珠と同じようなものだからできるかと思いまして」との問い合わせがあり、修復を行いましたので報告いたします。
1. 形状
ラウンドシェープネックレス シルバー925クラスプ付き(図1)

図1 当該商品

 

2. 診断
目視検査でネックレス全体に表面光沢のくすみを認めました。
光学顕微鏡拡大観察したところ、ネックレスの珠全体に表面のアレ中度症状(図2)を認めました。

図2 当該商品の表面拡大

 

3. 処置
① 1%硫酸ナトリウムアルミニウムにてガラ磨き20分、その後、水洗い10分
⇒アレがとれ、ざらっとした手触りからさらっとした手触りとなりました。
② 2%フッ素ナトリウムでガラ磨き20分、その後水洗い10分
⇒表面がつるっとした手触りになりました。
③ セーム皮で手磨き
⇒効果は顕著には表れず、確認はできませんでした。
④ カルナバロウでの手磨き
⇒効果は顕著に表れ、表面光沢がでました。
※処置1,2では珠の破損が起きないように慎重な取り扱いにて行います。

 

4. まとめ
サンゴは真珠と同じ炭酸カルシウムを成分としてできていますが真珠層構造(図3)とは異なる構造(図4)でできていますので、上記処置方法で修復を行いました。

図3 真珠層構造

図4 サンゴの破断面

 

※内容、画像ともに当時のまま