レポート

真珠クレームカルテ44 (2012年12月)

<防げるクレーム>
先日、小売店様を通して依頼のあった新品仕上げした商品をエンドユーザーであるお客様へ返却した際「商品の色が変わってしまった」とのクレームがありました、との報告がありましたのでご紹介します。
※新品仕上げ:現在の真珠クリーニング

 

1. お預かりデータ
形状 :ラウンド系、ホワイト系、SILVERクラスプ付き(図1)
サイズ:7.5~8.0mm
珠数 :54珠
長さ :40.5cm

図1 お預かり時の当該商品

 

2. 診断結果
汚れの付着、微細な真珠層溶解によるテリの鈍化、軽微な経時変化による黄ばみが認められました。

 

3. 修復方法
汚れの付着、微細な真珠層溶解によるテリの鈍化にはパールリフレッシャー、真珠リフレッシュクロスによる新品仕上げを行う。
経時変化による軽微な黄ばみは修復不能。

 

4. 結果
付着していた汚れの除去と溶解した真珠層を剥ぎ、新しい真珠層を出したことにより本来持っていた珠のテリに復元しました。この修復作業での色調の変化等は認められません(図2)
※当社での作業前に、端珠を磨き色調を確認しています。

図2 修復後の商品

 

5. まとめ
今回は、上記修復作業を行いましたが、作業前のお預かり時がポイントになってきます。それは真珠メンテナンスマスター講座でも説明していますが、てりの悪くなった珠は真珠層表層が溶解し、凹凸ができて光の乱反射が起こるため珠本来の色調とは違って白く見えます。この表面が荒れた珠を磨いた場合、その珠本来の色調がでてきますので今回のような「色が変わった」との話になってしまうのです。お返し時に「この商品は私のではない、色が変わった」と予測できるクレームを避けるためにも、お預かり時に必ずお客様の目の前でネックレスの端の数珠を真珠リフレッシュクロスで磨き、お客様に仕上がりの予測をお見せすることをお勧めします。

 

※内容、画像ともに当時のまま