<店頭に陳列した商品の真珠層が剥離>
1. 依頼事項
店頭に陳列していた商品の真珠層が剥離してしまったのですが、なぜ剥離してしまったのか調べてください。
2. 商品外観観察
色調 :ホワイト系
形状 :ラウンド系、ロングタイプ
サイズ:7.0~7.5mm(図1)
真珠層剥離の珠の横にノットが作ってあります(図2)。
孔口から珠中央付近まで真珠層が剥離しています(図2,3)。
図1 当該商品
図2 真珠層が剥離した珠(矢印:ノット)
図3 真珠層が剥離した珠の孔口付近拡大
3. 拡大検査
当該商品を光学顕微鏡100倍で観察しました。その結果、核の孔口横に先の尖ったようなもので引っかいたキズが2本平行に付いている(図3矢印①)と共に、真珠層剥離が引っかきキズの孔口先端より起きていることを確認しました(図3矢印②)。また、真珠層の剥離が起きている部分の真珠層の厚さを測定したところ約0.1mmでした(図4)。
図4 剥離した箇所拡大(矢印:真珠層)
4. 結論
当該商品は、すでに真珠層が剥離している状態ですので原因は推定になりますが、これまでの観察結果より真珠層剥離のまでの経緯には以下の2つの仮設が成り立ちます。
① 孔あけの際に薄まき珠であったことから、ドリルによるひび割れが発生、経時変化による水分等の消失からひび割れが徐々に珠の中央付近へ広がり、そこに何らかの圧力が加わり真珠層が剥離した。
② 核の孔口横にキズがあり、真珠層剥離の割れが引っかき傷の先端より起きていることから、商品を製品化する際に、何らかの理由により糸の組み直しが発生、糸を外す際ノットを孔口へ詰まらせてしまい再ドリルが必要となった。再ドリルを行う際、詰まった糸により孔口が見えづらい等の理由から手元がずれ真珠層と核の間にドリルの先端が当たってしまい、そのことにより孔口よりひびが発生し広がり、そこに何らかの圧力が加わり真珠層が剥離したと考えます。
この二つの仮設から、②の「再ドリル時の孔あけミス」が発生原因と考えるのが妥当と判断します。
※内容、画像は当時のまま