レポート

真珠クレームカルテ31 (2011年11月)

<ネックレス連に点在する人造真珠>
1. 真珠層表面のわれ
ネックレスの「クリーニング&エステ」をお願いします。と某業者様より数点の商品をお預かりしました。今回はその中に1点人造真珠が混ざったネックレスがありましたので紹介します。
商品詳細(図1)
・形状 : ネックレス
・色  : ホワイト
・サイズ: 6.0-6.5mm
・珠数 : 62珠
・長さ : 約38cm

図1 当該真珠

 

2. 診断・鑑別
まず、クレームカルテNo.14にも掲載されていますが、「クリーニング&エステ」を行うにあたり診断の最初に手掛けるのは「本物の真珠であること」の確認です。
① 外観検査
・色調のばらつきが見られます。
・汚れが原因と思われるテリの鈍化がみられます。

② 光透過法での検査
・光透視ライトにより核の縞目模様が確認できる薄まき珠が見られます。

③ 紫外線下での蛍光検査
・全体的に青白色、一部不活性な珠を確認しました(図2)。
通常、真珠は黄白色から青白色の蛍光を発するので、不活性の珠は真珠ではない可能性があります。

図2 当該真珠の紫外線下画像

④ 顕微鏡での拡大検査
・光学顕微鏡100倍下にて表面観察を行うと紫外線蛍光検査で青白色を発していた珠は真珠層の成長模様(図3)が確認できたのに対し、不活性な珠は人造真珠特有の卵の殻のように無機質な模様(図4)が確認できます。

図3 紫外線下で青白色に蛍光を発した真珠の表面拡大

図4 紫外線下で蛍光を発していなかった珠の表面

 

3. まとめ
今回お預かりした商品の結果は、「本物の真珠のネックレスに人造真珠が混ざっている」との結論になりますが、問題はただ混ざっているのではなく、意図的に規則性がなくところどころに混在するように混ぜられていたということです。商品を鑑別する際は概念を持たずに検査データから鑑別結果を導くという基本を常に行われなければ見落としてしまい結果を誤ってしまうということです。

 

※内容、画像ともに当時のまま