レポート

2025年宝石学会 参加報告

今年度の宝石学会講演会見学会は、6月14日土曜日に岩手大学銀河ホールにて講演会が、翌15日日曜日に見学会が開催されました。

 

14日は参加者57名で、一般講演と特別講演として木村賢一岩手大学名誉教授の「久慈琥珀に秘められた健康機能性と地球の歴史」が講演されました。先生の専門であるケミカルバイオロジー(化学生物学)の観点から久慈琥珀を取り上げ、2012年琥珀の中から発見した物質にKujigamberol(クジガンバロール)と名付けたそうです。この物質は、美白や抗シワ作用などが認められ、化粧品などに用いるなど地方創生、震災復興に貢献しているとのことでした。
一般講演20題の中では真珠に関する発表が7題あり、依然として関心の高さがうかがわれます。シロチョウガイの蝶番靱帯が宝石素材となるのでは、といった興味深い発表もありました。

当研究所からも以下の2題発表しており、内容要約は後日このWeb版マルガリータに掲載します。

 

「X線照射により発する蛍光を用いた淡水産真珠の判別法について」
「ブルー系アコヤ真珠の特徴と判別法」

 

今回の「X線照射により~」は、中央宝石研究所と東京宝石科学アカデミー、真珠科学研究所の共同研究となっており、中央宝石研究所の江森氏の発表「真珠鑑別におけるX線蛍光イメージングの定量化」も3社の共同研究です。

 

<見学会>

15日は、参加者35名でマリンローズパーク野田玉川と久慈琥珀博物館の見学会でした。
心配されていた気候ですが、曇り空ながら雨は無く早朝7時30分に大型バスで盛岡駅を出発し、10時頃野田玉川鉱山跡にあるマリンローズパーク野田玉川地下博物館に到着しました。洞窟の入口に入った途端に10℃程度の気温となり、上着を羽織りながら洞窟の中を進んでいきました。

途中には採掘の様子が展示してあり、手作業で進めていったことがわかります。
そして国内屈指とされるバラ輝石鉱床帯も見ることができます。

 

 

次に久慈琥珀博物館に向かい、施設内のレストランで昼食をとった後、琥珀採掘を体験しました。


使用する道具はアイスピックのような工具とシャベルです。一億年前の地層が露出しているところに降り、早速体験が始まりました。それまでの曇天が嘘のような日差しと暑さでふうふう言いながら、皆さん掘っていました。

掘り当てたものが琥珀なのかどうか、施設の指導員の方に見てもらいながら、あっという間の30分でした。いくつも見つけた方などもいらっしゃったようです。
その後、琥珀博物館に移動し、様々な展示物などを見学して終了となりました。

 

参加前、バスでの長距離移動は大変なのではと考えていましたが、それほど負担もなく有意義な見学会でした。